
大きな事故にはつながらなかったものの、一歩間違っていたらと想像すると思わず背筋が冷えるヒヤリハット。工場作業では、運搬やフォークリフト、清掃、台車使用時などによく起こります。本記事では、工場におけるヒヤリハットの原因や安全対策についてご紹介します。工場内での事故予防方法で悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
ヒヤリハットとは何か?
ヒヤリハットとは、少し何かの条件が違えば重大な災害や事故に発展する可能性がある状況のことです。身の危険を感じた際にヒヤっとしたり、ハッとすることから命名されました。ここでは、工場で発生する可能性がある具体例をくわしく紹介していきます。
転倒
転倒の事例としては、床が濡れていて転倒しそうになった、荷物を運んでいる際に台車を踏んでしまい転倒しそうになった、照明の電気を探している際に段差に躓き転倒しかけたなどが挙げられます。
転倒すると当たり所によっては擦り傷や打撲では済まず、骨折や捻挫、脳震盪などを引き起こす可能性があります。
挟まれ
挟まれの事例としては、ベルトコンベアでの作業中に衣類が巻き込まれプレス機に挟まれそうになった、フォークリフトでの作業中に車体に身体が挟まれかけたなどが挙げられます。挟まれ・巻き込まれのヒヤリハット事例では、生涯完治しない大けがをおった事例や命を落とした事故も少なくありません。
転落
転落の事例としては、脚立にのって作業している際に足を踏み外して落下しそうになった、後ろを確認せずに下がったら階段があり転落しかけたなどが挙げられます。高い場所から転落すると最悪の場合命を落とす可能性があり、低い場所からの転落でも大けがを負う恐れがあります。
切断
切断の事例としては、機械を止めずに掃除をしようとした際に回転している刃に手が当たりかけた、チェーンソーがキックバックを起こし足を負傷しかけたなどが挙げられます。刃物を使用する現場では、うっかりミスが大けがにつながりかねません。
倒壊
倒壊の事例としては、パレットで積み込み作業中に荷崩れが起きた、積み上げていた荷物が荷崩れを起こして体に当たりそうになった、ガスボンベが倒れて足を挟みかけたなどが挙げられます。
倒壊のヒヤリハットは荷物を積み上げている場所で起こるものだと考えている方がいますが、ガスボンベのような重い物が置かれている場所でも発生します。
工場でのヒヤリハットのおもな原因
工場内で発生するヒヤリハット事例は、大きく分けて人為的なミスのケースと作業環境に問題があるケースの2つに分けられます。
しっかりとした作業環境が整っていても人為的なミスがあると発生する可能性があり、人為的なミスがなくても作業環境が不適切であればヒヤリハットが発生する可能性があります。対策を考える際は、どちらかではなく両方の視点から対策することが重要です。
人為的なミス
人為的なミスとは、不適切な手順で作業を行ったり、軽く考えて確認を怠ったりしたことが原因で発生するヒヤリハットです。
たとえば、確認不足によってフォークリフトを動かしたときに人にぶつかった、棚卸し作業中に重い荷物を落としてしまい下にいた同僚に当たりかけたなどが人為的なミスに該当します。
人為的なヒヤリハットの発生を予防するには、常に従業員に危険を意識して作業に取り組ませることが大切です。
作業環境に問題があるケース
作業環境に問題があるケースとは、職場の設備や労働環境が原因でヒヤリハットが発生するケースです。たとえば、倉庫内の照明が暗く、足元の荷物に気が付くことができずに転倒しかけた、作業台や脚立が破損しており、作業中に載せていた物が落ちたなどは、作業環境に問題があるケースに該当します。
作業環境によるヒヤリハットの発生を予防するには、定期的に作業環境の見直しを行ったり、従業員から管理者に対して作業環境の要望を出せるシステムを構築したりすることが大切です。
ヒヤリハットを防ぐための安全対策
最後に予防に役立つ安全対策を紹介します。かんたんに実施できる対策を紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
安全確認を徹底する
ヒヤリハットは、仕事に慣れ初め、確認を怠るようになった際によく発生します。そのため、ヒヤリハットを起こさせないためには、従業員に安全確認を徹底させることが重要です。過去に起こった事故について教えるなどして、安全確認の重要性を再確認させましょう。
体調管理を徹底する
ヒヤリハットを予防するには、従業員の体調管理を徹底することも大切です。体調が悪いと通常では起こらないようなミスを起こし、そこから事故に発展するケースも珍しくありません。検温や休憩時間の導入などを検討してみましょう。
環境や設備を見直す
ヒヤリハットは作業環境に問題があり発生するケースもあります。そのため、予防するには環境や設備を見直すことも大切です。
実際に働く従業員からどのような部分に不自由を感じているのか、事故が起こりそうな場所はないかを確認してみましょう。環境や設備の見直しは一回やったら終わりではなく、時間を置いて定期的に何度も行うことが大切です。
まとめ
本記事では、工場におけるヒヤリハットの原因と安全対策についてくわしく紹介しました。ヒヤリハットは人為的なミスが原因で発生すると思われることが多いですが、実際には設備や環境が原因で発生しているケースも少なくありません。そのため、しっかりと予防したいときは、安全性の高い工場の新設や建て替えを検討してみることがおすすめです。安全な設備と環境が整っていれば、ヒヤリハットの発生確率を下げられ、従業員の安全を守ることにつながります。本記事が、工場内での事故予防方法に悩んでいる方のお役に立てれば幸いです。