工場建設で知っておきたい建ぺい率・容積率とは？

工場建設において必要な知識である建ぺい率と容積率について、理解しておきたいという方も多いのではないでしょうか。これらをしっかり理解しないまま建設を進めると、法律違反にあたる可能性もあります。本記事では工場建設で重要な建ぺい率と容積率について、詳しく解説します。

建ぺい率と容積率の基本とは？

工場建設において建ぺい率と容積率は、建設の初期段階で確認すべき重要な要素です。建ぺい率と容積率は、建築基準法によって定められており、制限を超えるものは建築できません。違法建築を防ぐために建ぺい率・容積率の基本知識を紹介します。

建ぺい率の基本知識

建ぺい率とは、敷地面積に対する建物の建築面積の割合です。建物を建てる土地に対してどのくらいの大きさの建物を建てられるかが法律で定められています。建ぺい率を超える建物は違法のため、建てることができません。

建ぺい率には、採光や通風、防災性の確保などの目的があります。敷地内に一定の空き地を設けることで、火災や災害時の広がりを抑えられる可能性が高まります。建ぺい率は、快適な作業環境を保ち、調和のとれた街並みを形成するために欠かせない要素です。

容積率の基本知識

容積率とは、敷地面積に対して許容される建物の延床面積の割合です。建物の大きさが定められており、建物の階数が多いほど容積率は高くなります。建物の階数が無秩序に増えることを防ぎ、市街地環境や公共施設、建築物のバランスを維持するといった目的があります。

工場建設における建ぺい率・容積率の計算方法と実務的なポイント

工場建設における建ぺい率と容積率の計算方法を紹介します。

建ぺい率の計算方法

建ぺい率は、以下の計算方法で求められます。

建ぺい率（％）＝建築面積÷敷地面積×100

建築面積とは、建物を真上から見た時の面積です。敷地面積は、建物を建てる土地全体の面積を指します。具体的には、敷地面積600平方メートルで建ぺい率60％の場合、建築面積の上限は360平方メートルになります。建ぺい率の上限を超える建築工事を進めることはできません。

容積率の計算方法

容積率は、以下の計算方法で求められます。

容積率（％）＝延床面積÷敷地面積×100

延床面積とは、建物のすべての階の床面積を合計したものです。容積率は、土地利用の効率化を目的としており、都市計画や人口密度の調整にも影響します。

具体的には、500平方メートルで容積率70％の敷地に2階建て建物を建築する場合、1階と2階の床面積を合計して350平方メートルが上限になります。

工場建設の際に気をつけるべき建ぺい率・容積率の制限と対策

建ぺい率と容積率は用途地域によって異なるため、工場建設の際にはしっかり確認することが重要です。将来的に増改築する可能性がある場合は、余裕をもった土地選定や設計が必要不可欠です。

建ぺい率・容積率は用途地域によって異なる

用途地域とは、各自治体が都市計画法に基づき定めた、計画的な市街地形成のため用途に応じて分類された13のエリアを指します。都市計画法とは、人々が健康で文化的な生活を送れるように計画的な市街地開発・施設設備を定めた法律です。

用途地域によって建築できる建物の種類や用途、制限があらかじめ定めています。工場を建てる際には、工場建設が可能な地域かを確認することが重要でしょう。用途地域は自治体のホームページなどで公開されています。

建ぺい率が緩和されるケースもある

角地や防火地域、準防火地域などは、自治体の規定によっては建ぺい率が緩和されるケースもあります。角地とは、2以上の道路に面する土地です。防火地域や準防火地域は、もとの建ぺい率に10％をプラスできる特殊な条件があります。

ただし、建物の用途や構造によって規制が異なるケースもあるため注意しましょう。事前調査を徹底し、敷地の用途地域や建ぺい率の上限をしっかり確認することが大切です。

制限を超える建築は違法

建ぺい率の上限を超える建築は、法律違反です。設計段階で計算ミスをしたり、正確に測量できていなかったりすると、敷地に対して許容される建ぺい率をオーバーしてしまう可能性があります。

違法建築物の建築は、行政指導や是正指導、罰則、撤去命令を受けることにつながる恐れもあります。違法建築物は売却時や賃貸時に不利になるため、資産価値も低下します。また、再建築にあたり制限がかかるケースもあります。

増築や改築による建ぺい率オーバー

建ぺい率や容積率の上限に近い設計の場合、増築・改築する際に制限をオーバーしてしまうこともあります。建築時に建ぺい率・容積率の上限いっぱいまで設計した場合は、施設を拡張できません。

将来的な増築や改築のために、ある程度余裕をもった土地選定・設計が必要です。適切な建設計画は、許認可の問題発生やコストの増加などを未然に防ぐ効果が期待できます。

まとめ

本記事では、工場建設で知っておきたい建ぺい率と容積率についてお伝えしました。建ぺい率とは、敷地面積に対して建物の建築面積の占める割合です。建築面積は建ぺい率によって制限されているため、上限を超える建物を建設することはできません。容積率とは、敷地面積に対して許容される建物の延床面積の割合です。工場建設の際には、用途地域によって建ぺい率・容積率の比率が異なることや緩和条件などに気を付けましょう。設計段階での計算ミスや増改築による建ぺい率オーバーには注意が必要です。違法建築を防ぐためにも、安全かつ法律を準拠した設計が重要でしょう。工場建設を検討している方は、専門性の高い知識を有する工場建設のプロに相談してみることをおすすめします。