
工場建設の際には、さまざまな法律を遵守しなくてはいけません。法律や規制、工場建設後の運営に関する法的義務などを事前に理解しておくことが重要です。この記事では、工場建設においえ知っておきたい法律、必要な許可、手続きについて詳しく解説しますので参考にしてください。
工場建設の前に確認すべき法律と規制
工場建設の際とくに注意しなくてはいけないのが法律です。知識不足により知らないうちに法律違反をしてしまうことがないよう、事前にしっかりと理解しておかなくてはいけません。まずは工事建設の前に確認すべき法律と規制について詳しく解説します。
建設基準法
建設基準法は、建物の構造や設備、用途など、建物を建設する際に守らなくてはいけない最低限のルールが定められた法律です。工場や住宅、ビルなど、すべての建築物は、建設基準法に則って建設しなくてはいけません。
建築基準法のなかでは、建物の安全性や居住性を確保するための技術的基準や接道や容積率の建ぺい率など、さまざまな規定が定められています。規定は多岐にわたり、非常に重要な法律なので、建設の計画段階から確認することが必要です。
都市計画法
都市計画法は、計画的な市街地開発をするため、用途地域ごとに建てられる建物と建てらない建物を定めている法律です。計画的な施設設備や市街地開発の在り方について定められた法律であり、都市の健全な発展と秩序ある整備のために重要なルールです。
工場建設ができる地域には、工場地域、準工場地域、工業専門地域の3種類があります。建設する工場の危険性や周辺に与える影響によって建設可能な地域が異なるので、建設をする前にしっかり確認することが重要です。
工場立地法
工場立地法は、工場の建設が周辺地域の生活環境と調和し、適正に行われることを目的に定められた法律です。工場建設の際は、敷地内に緑地を整備し、周辺環境を保護することが義務付けられています。
工場内における生産設備面積の割合は、敷地全体の30~65%以内、敷地面積に対する緑地面積の割合が20%以上、敷地面積に対する環境設備面積の割合が25%以上であることが原則です。
ただし工業団地の場合は、特例で基準が緩和されるケースもあります。工場を新設する際は、自社の工場が受ける規制や制限などを自治体に確認することが必要です。
工場建設に必要な許可と手続き
工場建設の際には、取得が必要な許可や行うべき手続きがあります。
工場建築確認申請
建築確認申請は、構造・建設を行う土地の情報を管轄する自治体に提出する手続きです。工場の建設計画が建築基準法に適しているのかを自治体が公的に確認し、確認済証を交付することが目的です。
工場建設確認申請は、工場建設において必須項目です。建築確認申請書を作成し、基準を満たしているのかについて審査を受けましょう。確認済証が交付されてはじめて、着工に向けての準備を進められます。
開発許可
市街化区域や市街化調整区域に一定規模以上の開発を行う場合は、都道府県知事から開発許可を受けなくてはいけません。1,000㎡以上の工場を建設する場合には、開発許可取得のために申請が必要です。ただし1,000㎡以下でも開発許可が必要となるケースもあるため、各自治体で確認しましょう。
工場立地法の届出
敷地面積が9,000㎡以上または建築面積が3,000㎡以上であり、製造業・ガス供給業・電気供給業・熱供給業に該当する場合は、特定工場にあたるため工場立地法の届出が必要です。特定工場を新設する場合は、着工の90日前までに届出をしなくてはいけません。
工場建設後の運営に関する法的義務
続いて工場建設後の運営に関する法的義務について解説します。
大気汚染防止法
大気汚染防止法は、住民の生活環境を保護するために定められた法律です。工場から排出される大気汚染物質は、物質ごとに排出基準量が定められています。工場建設後の運営にあたり、この基準を守る必要があります。
振動規制法
振動規制法は、工場で発生する振動に関する規制基準が定められた法律です。振動が発生する設備を設置した場合、区域や時間ごとに定められた規制基準を守らなくてはいけません。また特定建設作業を行う場合は、事前に届け出が必要です。
騒音規制法
騒音規制法は、工場の騒音に関する規制基準が定められた法律です。周辺で生活する人々の健康や健康を守ることが目的の法律です。騒音が発生する設備が設置されている工場が対象であり、区域や時間帯によって音量の規制が行われます。著しい騒音が伴う工場の場合は、届け出をする義務があります。
水質汚濁防止法
工場から排出される水や地下に浸透する水について、公共用水域の水質汚濁防止のために定められている法律です。人体に害を与える恐れがある物質や水質汚染の原因となる物質について規制が行われています。
まとめ
本記事では、工場建設の際に知っておきたい法律や必要な手続きについて解説しました。工場建設に関する法律は、事前にしっかりと理解しておかなくてはいけません。専門性の高い部分については専門家や建築会社に相談し、最低限の法律知識については現場スタッフも身につけておくようにしましょう。また工場建設の際は、周辺環境や近隣住民への影響も考慮しなくてはいけません。工場の建設や稼働に関して事前に説明し、近隣住民とのトラブルを回避しましょう。無許可での着工や違法建築を防ぐために、法令順守について担当者間で共有することが大切です。