
自社の新たな工場を建設する際は、業者依頼前に工場建設の流れや確認ポイントなどをしっかりと把握しておくことが重要です。工場建設にかかるコストは決して安くないため、後悔することがないよう注意点を押さえておきましょう。今回は工場建設に失敗しないための注意点について詳しく解説するため、ぜひ参考にしてください。
コストと時間のバランスを見極める
工場建設において重要なポイントのひとつに、コスト・時間のそれぞれを見極めてバランスを考えることが挙げられます。ここでは、工場建設におけるコストと時間について詳しく解説します。
工場建設にかかるコストを考える
工場建設に必要なコストは、工場や土地の条件によって大きく異なるのが特徴です。工場の規模・設備内容はもちろん、建物や土地の形状もコスト変動の要因となります。実際に建設にかかるコストをしっかりと把握して予算を決定するためにも、早めに業者から見積もりを取るようにしましょう。
工場建設において、金融機関からの融資を受ける場合にも見積もりが必要となるため、資金調達をスムーズに行うためにも早期の段階で業者との打ち合わせを行うのがおすすめです。
また、複数の業者で相見積もりを取ると当然価格に差が出ますが、金額設定には必ず理由があります。安い理由・高い理由をしっかりと把握した上で、慎重に検討することが重要です。
工場建設にかかる期間の策定
工場建設にかかる一般的な期間は、建築確認申請の許可が降りてから半年ほどであると言われています。そもそも建築確認申請とは、建設工事の内容が現行法に反していないかを確認するために行う申請です。
申請時には図面や構造計算書類をはじめとする膨大な書類を用意する必要があるうえ、許可手続きにもある程度の時間を要するため、申請準備から許可が降りるまでには相当な期間が必要です。
さらに、工事を依頼する業者を決めるまでにも相見積もり・打ち合わせなどを行うことを考慮すると、工場建設を決めてから業者決定・工場完成・稼働開始までには、約1年半程度かかると考えておくのがよいでしょう。工場の稼働を開始したい時期から逆算して、余裕を持ったスケジュール計画を策定しましょう。
建設場所や周辺環境が成功のカギ
工場建設においては建設場所や周辺環境も重要です。ここでは、工場建設の場所や周辺環境についての確認ポイントについて詳しく解説します。
自社敷地に工場を建設する場合
自社の敷地内に新たな工場を建設する場合には、まずは既存建物の確認申請済証・検査済証をチェックします。また、既存建物との離隔距離も考慮することが必要です。
さらに、工場稼働後の人・車の出入りはもちろん、工場建設中の工事車両の出入りや駐車スペースについても考慮しなければなりません。工場建設が物理的に可能であるかどうか、予定している新工場の規模や敷地面積からしっかりと検討しましょう。
土地を購入して工場を建設する場合
新たに土地を購入して工場を建設する場合、まずは工場の建設が可能な用途地域であるかどうか、法規制による問題がないかをチェックしましょう。また、工場の出入口側にあたる道路の道幅や交通量についても確認しておくことが重要です。
物流の観点から商品の出荷がしやすいかどうか、高速道路のインターチェンジまでスムーズに移動できるかについてもしっかりとチェックしておきましょう。
さらに、住宅地に工場を建設する場合、近隣住民からの騒音などに関するクレームの有無も考慮したいポイントです。とくに住宅の数が多いエリアでは、工場の稼働時間が制限される可能性もあるため注意してください。
安全性と機能性の確保でリスク回避
工場建設の際には、安全性・機能性をチェックすることも重要です。ここでは、工場建設時の安全面や機能面について注意すべきポイントを詳しく解説します。
安全性
建物の建設時には、建築基準法を遵守しなければなりません。建築基準法については工場に限らずすべての建物において着工前に申請を経る必要があり、基準に適合しない場合には工事停止や建物の修繕などを求められます。
また、建築基準法を満たすかどうかのチェックとは別の観点として、工場内の設備や作業内容に合わせた安全性の確保がなされているかどうかも確認しておくことが重要です。
機能性
ひとくちに工場といっても、業種・取扱製品・作業内容によって求められる機能はさまざまです。とくに会社として工場に必要な機能や空間構成などをしっかりと把握できていない場合には、同業の工場の建設経験を持つ建設業者で、細かくすり合わせをしながら設計してもらうことが重要となります。
会社と建設業者とで認識をひとつにし、お互いの持つ情報についての理解を深め合いながら図面を完成させることで、工場稼働後に作業のスムーズ化や生産性アップが叶います。
まとめ
今回は、工場建設時の注意点やチェックしたいポイントについて、コスト・時間や建設場所、安全性・機能性の観点から詳しく解説しました。工場建設にかかるコストは工場の規模や仕様によって大きく異なります。融資を受ける場合は申請にかかる時間なども考慮して、早めに見積もりを取るのが有効です。また、建設期間は業者探しから工場完成・稼働開始までに約1年半かかるケースもあります。稼働開始予定時期から逆算して、余裕を持ったスケジュール計画を立てましょう。さらに、工場を建てる土地の用途地域や法規制について確認すること、工場の作業内容や設備に合った安全性確保がなされているかをしっかりとチェックすることなども重要です。